頭の中のあかない引き出し

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「残穢」を読みました

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

小野不由美さんの「残穢」を読みました。

きっとすごく怖いんだろうなあと身構えつつ読んだ。実際にやはり怖かったものの、読んでいる間は震え上がるほどではなかった。

さまざまな人物が次々に出てくるため、後からまたその人物の話が出てくると、どんな人だったか忘れてしまっていて困った。何度か手を止め、前に出てきた場面を探して確認した。

ホラーだけれどミステリーな要素もあり、先が気になる展開だった。

現実の地名や事件の名称がそのまま出てくるなあとは思っていたのだけれど、途中、平山夢明さんの名前が出てきたところで、『あれ?』と考えてしまった。もしかして小野不由美さん自身が『私』なのか。だとしたら、この作品はどこまでがフィクションなんだろうか。

それに思い当たると、怖さが増す。そして終盤、自分のところは大丈夫だろうかなどと考え始めてしまうのだ。これを読んで良かったんだろうかとも。そういうところでの余韻が残る。強くはないけれど長く、怖い気持ちが続くであろう作品。