頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「かがみの孤城」を読みました

かがみの孤城

かがみの孤城

辻村深月さんの「かがみの孤城」を読みました。

2018年本屋大賞受賞作。

読んでよかったーとしみじみ思ったのだけれど、内容に深く踏み込まずにうまく感想を書ける気がしなくて、そうしたらなかなか書く気が起きなくて、1ヶ月以上経ってしまった。


主人公は中学1年生の女の子、こころ。物語が始まって最初の場面は、不登校の日々を送るこころの様子。それを何とかしたいと願う親の様子。その姿は、我が家の長女(不登校ではないものの学校でほとんど声を出せない)と重なり、やきもきする自分の気持ちとも重なり、読んでいて胸が痛むものがあった。

でもそこからの展開はファンタジーで、現実にはあり得ない不思議なことが起こり、こころの生活は激変。謎だらけの城で、ともに行動し心を通わせられる仲間たちにも出会える。

それでも、日常とは完全に切り離されることはなく、現実の部分にはファンタジー感はない。それぞれのつらさや生きていく厳しさや寂しさが見える。

だからこそ、彼らはどうなっていくんだと先が気になり、ただただ読んだ。

彼らの共通点、見えない関係性が徐々に見えてくる。仕掛けが少しずつ明らかになっていくのが読むうち自然にわかり、更に読むスピードが上がる。

仕掛けもラストも、ネタバレしたくないのでほとんど書けないけれど、いい終わり方。切なさとあたたかさと希望にあふれてる。何度も涙でウルウルした。

物語のすべては、読み終えた私の中に。

「雀蜂」を読みました

雀蜂 (角川ホラー文庫)

雀蜂 (角川ホラー文庫)

貴志祐介さんの「雀蜂」を読みました。

この本を手にとるきっかけになったのは、我が家の長女。長女はいつの頃からか蜂をとても怖がっていて、怖がりすぎるあまり図書館で蜂の本をたくさん借りて読み漁り、結果やけに蜂のことに詳しくなったというエピソードの持ち主。そんな長女の影響で、私も「雀蜂」というタイトルについつい反応してしまったのでした。

舞台は八ヶ岳南麓に建つ山荘。そこで目が覚めた主人公は、11月も下旬だというのにスズメバチに襲われる。しかも次から次へと。他にも、妻がいなくなっている、携帯電話が見当たらない、など不審な点も多く、何者かが仕組んだ罠なのではないかと疑う。しかしとにかく、蜂の魔の手から生き延びることを決意する。

逃げるにしろ闘うにしろ、相手が蜂なので行動が読みづらい。スズメバチは毒針を持っているので、闇雲に動くわけにもいかない。絶対に刺されてはいけないというプレッシャーがありながらの闘いなので、緊迫感があった。

主人公がこのピンチをどうやって切り抜けるのか、そもそも切り抜けることは可能なのか、緊張しながら読んだ。

誰の仕業なのかという点についても、話が進むにつれて明らかになってくる。最後には予想しなかった展開もあり、意外で面白かった。

でも最高に面白い! と言えるほどの興奮はなく、割とササーっと終わってしまった感じかな。

「小暮写眞館」を読みました

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

宮部みゆきさんの「小暮写眞館」を読みました。

タイトルと表紙の雰囲気に惹かれて購入。かなり分厚いので、きっと壮大なストーリーなんじゃないかなーと期待して読んだ。

ところが、宮部さんの作品にしてはあまり引き込まれず、のろのろと読み進めて何とか読了。途中、やめちゃおうかな?と何度か思ったくらい。

決してつまらない訳ではないのだけれど。スピード感が無かったからかな。登場人物たちにそれほど感情移入ができなかったというのもあるかも。キャラは立っていたしそれぞれに好感も持てたのに、気持ちがのめり込む感覚は得られなかった。不思議。

最初は霊的なお話なのかと思ったけれど、途中からは過去の心のキズを巡るお話になってきて、でも霊も関係なくもなくて、思春期な感じもあって、どこに向かっていく物語なんだろう?とよくわからなくなってしまった。

登場人物たちにまつわるいろいろなことが語られ、最後は概ねいいカタチに収まった感じ。切なさはありつつ、読後感も悪くなかった。それでもやっぱり、何となく物足りない気持ちが残ってしまったなーー。

「螢」を読みました

螢 (幻冬舎文庫)

螢 (幻冬舎文庫)

麻耶雄嵩さんの「螢」を読みました。

序盤、主人公が誰なのかいきなりわからなくなり、混乱してしまった。主となる視点で語っているひとが、文の流れからいうとAさんだと思ったのに、そのAさんが急に第三者として描かれている。じゃあこれ語ってるひと誰??と疑問に思うも、それがわからないのでかなりイライラした。もうやめようかと思ったくらい。

それでも、きっとこれは叙述トリックなのだろうと思い、何とか読み進めた。いろいろ勘ぐってしまいつつ。

そこをもう割り切って読めば、ストーリーは面白かった。ただ、全体的にセリフまわしが古くさかったかな。特に平戸さん。大学生あんな話し方しないでしょ。

叙述トリックの内容も、新鮮だった。そういうパターンとはね!
でも序盤から『何かあるんでしょ』という気持ちで読んでいたので、素直に楽しめなくてもったいなかったかな。読後、思い返しながらパラパラめくってみて、書き方にかなり工夫したんだろうなというのが伝わってきた。

終わり方は好きだなー。救いがなくて。想像させる部分もあって楽しかった。確定する要素はないから想像して楽しむだけだけれども。

「真夜中の五分前 <side-B>」を読みました

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

本多孝好さんの「真夜中の五分前 -five minutes to tomorrow <side-B>」を読みました。

うーーーーーん。。。
嫌いではない。嫌いではないのですよ。
でも好きでもないかなー。

side-Aの後のお話。Aを読んでいた時には想像しなかった展開で、少しミステリー風味もあって、面白く読み進めはしたのだけれど。
でも読後にほとんど余韻がなく。最後はやっぱり恋愛小説なんだねって感じの終わり方だったから、結局は私の好みではなかったってことなのかもしれない。

最後の段落の文章は好き。ここは記憶に残りそう。
でもまあ全体的に、私にとってはあまり心が揺さぶられるお話ではなかった。

そもそも、主人公のセリフの口調が好きじゃないんだな。これも没頭して読めなかった原因のひとつか。
まだるっこしいことばの選び方。おしゃれ感を出してるのか知らないけど、身近なひとがこれだったらゾワゾワしてしまうかも。

「真夜中の五分前 <side-A>」を読みました

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 (新潮文庫)

本多孝好さんの「真夜中の五分前 -five minutes to tomorrow <side-A>」を読みました。

何だかよくわからないお話に感じた。登場人物それぞれの想いは何となく理解はしたけれど、『そうなんだ~』って感じの気持ちしか持てず。何を伝えたいのか、伝えたいことがあるのか、メインが何なのかもよくわからなかった。
恋愛小説というものがあまり得意ではないからか、特に心に響く部分もなく読了。

でもこの作品には、Side-Bがある。わざわざAとBとに分けるからには、Bの方を読んだら、何かすごいどんでん返しがあったり衝撃の事実がわかったりするのかも? Aを読み終えた段階では『このエピソードって必要なのかな』と思う場面がいくつかあったけれど、それも今後の伏線なのでは?
それとも、別の登場人物の目線から描かれているだけで、内容は大体一緒ってパターンかな?

いずれにしても、どうなるのか気になるのでBは続けて読む予定。

「クリーピー」を読みました

クリーピー (光文社文庫)

クリーピー (光文社文庫)

前川裕さんの「クリーピー」を読みました。

映画化されていて、何となくCMを目にしたような気もするけどあまり覚えてない。帯の『あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。』というコピーに惹きつけられて購入。

ホラーっぽい内容をイメージしていたのだけれど、そういう怖さではなかった。人間の怖さ。同じ人間がすることだけに、理解のできなさが恐ろしかった。

感じの似た事件は現実にも起こっているということや、自分にも絶対降りかからないことではないということを思うと、ホラー以上に恐ろしい。隠されている狂気は本当にこわい!

主人公の行動の甘さが何度か気になったけれど、救いようがないほどつらいラストにはならず、意外と読後感は悪くなかった。

続編も読んでみるつもり。