頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「いけない」を読みました

道尾秀介さんの「いけない」を読みました。

今まで出会った道尾さんの本にはハズレがなかったから、今回も期待してたんだけど、それでもやっぱり面白いのよーすごいな。

まず、各章どれも面白かった。先が知りたくてどんどん読んでしまうし、別の章とも繋がりがあるからそちらも気にかかる。最後は意外な展開に驚いて。更に、章の終わりには写真がくっついていて、曖昧に想像していた結末が、それによって補強されたり覆されたり。

本のはじめには使用方法があって、『写真を見ることで、それぞれの"隠された真相"を発見していただければ幸いです。』とある。これを踏まえた上で写真を見ていたにもかかわらず、読み終えてから改めて二章と三章の終わりの写真を見たら、最初には見えていなかったものが見えた。注意力がなさすぎるな私は。

そのまま2周目してみたら、発見があり過ぎてびっくり。こんなに普通に書かれているのになぜ気付かないで読んでいたんだと自分を疑ったくらい。先が気になる展開だと目が上滑りして、こまかい描写は見落としちゃうのかもしれないな。

一章の写真は何を伝えたいのかイマイチわからなかったんだけど、ゆかり荘の場所が確定すると、誰が死んだかわかるっていう意味かなあ。

最後の章は、いろいろ判明するので答え合わせ的に楽しめた。明確に言い切っていない部分も残されていて、読後に詳細をあれこれ考えられるのも醍醐味。
かりそめの不安定な平和だとしても、彼らの現状がこのまま続いて欲しいと思ってしまった。それが幸せなことなのかはわからないけれど。


面白かったー。2も出たのでしょ? 読みたい。

「ジャッジメント」を読みました

小林由香さんの「ジャッジメント」を読みました。

舞台は20XX年。『復讐法』という法律が生まれた。犯罪者から受けた被害内容と同じことを、被害者または遺族などが合法的に刑罰として執行できるというもの。

大切な人が殺された時、人は復讐を選ぶのか。

物語は5つの章から成っていて、傍観者としてすべての章に登場するのが、応報監察官の鳥谷文乃。

「応報監察官」というのは、復讐法に基づく刑の執行について、確認、監察、報告などする仕事。執行者が犯人を殺そうとする様子も見届けなくてはならず、そこには常に葛藤や辛さがつきまとう。

執行者にとっても、苦しい作業だなあと思う。復讐を遂げたからといって楽にはなれないし、却って辛さが増すおそれもある。

殺す側、殺される側、それぞれの事情を知ってしまうと抱く感情も変わってくる。1章から3章にはちょっと救いを感じる部分もあったけれど、どの章の結末にも、やりきれない思いは残った。

4章「フェイク」と5章「ジャッジメント」はキツかった。蒔絵と本田が憎たらしい。同じやり方で復讐をしても、届かない相手には届かない。復讐にも痛みは伴うのに、なんかこれじゃあ被害者側がやっぱり損だよね。

しばらくモヤモヤどんより考えてしまう。読後感はぜーんぜん良くないです!(笑)


178ページ 4行目
視先→視線

「運転者」を読みました

喜多川泰さんの「運転者 未来を変える過去からの使者」を読みました。

運をつかまえるということ、上機嫌でいること、この辺りはふむふむと思いながら読んでいたのだけれど、途中からあまりピンと来なくなってしまった。

運を貯めてもあまり使い過ぎない方がいいみたい?
結局、全部は使い切らず、次の代に渡すのがいいって言ってるのかな。宝くじで高額当選するような幸運を呼んじゃった人は、運を使い果たして次の世代が苦労するってことになるの? そうならないように人のために当選金を使えばいいとか? よくわからなかった。

蕎麦の話はじーんときたなあ。
ラストに向けて判明するあれこれもよかった。

 

電子書籍なのでページ数は参考で…。
24ページ 行きたいところ・50ページ 自分には
改行が変

71ページ 上げるようと→上げようと
98ページ 昨日,→昨日、

「塀の中の美容室」を読みました

桜井美奈さんの「塀の中の美容室」を読みました。

舞台は、刑務所の敷地内にある美容室。一般の人がお客さんとして行くことができる。美容師さんとして働いているのは受刑者で、刑期中に勉強をして資格を取り、やがてお店に立てるようになるということらしい。

各章の主人公は、それぞれの理由からこの美容室を訪れる。みんな悩みや悲しみ、つらさを抱えているのだけれど、美容室を出る頃にはちょっと気分が変わっている。

登場する人物みんながいい風に影響を与え合っていて、悩みが無くなるわけではないにしろ、各章のどれもが前向きに終わる。エピローグも希望を感じられて良かった。

刑務所の中にある美容室って、実際にあるんだね。知らなかった。


電子書籍だからページ数は意味ないか…
7ページ・20ページ
変わり→代わり
125ページ
合せ→合わせ
128ページ
向かい入れる→迎え入れる
159ベージ
係り→係
190ページ
泊って→泊まって
191ページ
男の子特有の優しさ→優しさなの??不器用さとかではなく?
191ページ
泊り→泊まり

「ギフト」を読みました

原田マハさんの「ギフト」を読みました。

3〜4ページほどの短いお話がたくさん入ってた。恋愛、友情、家族、仕事。どれも最後にはいい展開になって終わる。ちょっとキレイ過ぎるかなって気もしたんだけど、初出一覧を見たら企業のホームページやゼクシィだったので納得。

途中でどんでん返しやダークな展開を期待してしまった場面もあったので、すべてがめでたしめでたしだと何となく物足りなく感じちゃったな。

「甘いお酒でうがい」を読みました

川嶋佳子さんの「甘いお酒でうがい」を読みました。

川嶋佳子さんて誰よと思ったら、シソンヌのじろうさんがコントで長年演じてきた女性なんだって。この本は、その川嶋佳子さんの日記。

私が書く日記は老後の楽しみなので、ただただあったことをダラダラ書き連ねているんだけど、佳子さんの日記は違う。短い。一番長い日でも1ページくらい。ほとんどが数行で終わる。

日記だけど、出来事としては特に何も記されていない日も多い。でも読んでいるうちに、佳子さんの為人が見えてきて感情移入しちゃう。

お母さんのことが何度も出てきて、存在が大きいんだなあというのがよくわかった。実際のじろうさんもそうなんだね。

ちょっとしたことを書いている日でも、感性がステキ。やっていることでも思っていることでも、わあーと思ったりグッときたりすることが何度もあった。わかるわかると頷くことも。

あっという間に読めちゃったけど、忘れた頃にまた読み返したいなあと思った。好きな本。

月水金は奇数だな、私は。

「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」を読みました

町田そのこさんの「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」を読みました。

カメルーンの青い魚、夜空に泳ぐチョコレートグラミー、波間に浮かぶイエロー、溺れるスイミー、海になる、の5篇。短編だけれどつながりはある。

少し前に読んだ「スモールワールズ」と印象が重なって、同じ作者さんだっけ?と確認してしまった。ネオンテトラ、驚きが隠されているところ、出てくる人の雰囲気なんかが近いのかも。

登場人物たちがつらい気持ちを抱えながらもがいて、苦しんで、それでも最後にちょっと救われるのでホッとする。「海になる」は、ラストとても良かったのだけれど、そこに行き着くまでがキツかったな。

「波間に浮かぶイエロー」が一番好き。切なすぎるけど。