頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「蜜蜂と遠雷」を読みました

恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」を読みました。直木賞本屋大賞のダブル受賞で話題になっていましたね。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

舞台となるのは、日本で開催される国際音楽ピアノコンクール。出場者の中の数人がクローズアップされて描かれている。彼らそれぞれがそれぞれの事情を抱えながら、いろいろなスタンスでピアノに対峙していて、どれも気持ちがよくわかる。予選から一次、二次、三次、と進んでいくうちにみんなを好きになり、みんなを応援したくなる。

私自身は、ピアノを習っていたことがあるものの『エリーゼのために』止まり、クラシックについての知識も乏しい。かなり分厚い本だし、楽しく読めるんだろうかという不安があったけれど、杞憂だった。

ピアノのコンクールというけっして派手ではない題材にもかかわらず、気がつけばのめり込むように読んでいた。読んでいてドキドキした。涙が出てくる場面もあった。
中には知らない単語もいくつか出てきたけれど、説明がされていたり流れで理解できたりで、特に困ることなく読むことができた。

何より、演奏についての描写が豊かで、読んでいて心地よかった。音楽に景色が見え、音楽に物語を感じる。そういうことが本当にあるんだなあと感じられた。そして、私は文章を読んでいるだけでそれを感じさせてもらっているんだと思うと、感慨深かった。

そして、コンクールの出場者だけでなく他の登場人物たちにも存在感があるというのも、魅力のひとつ。彼らが物語に絶妙にからんでいることで、この作品がより面白いものになっていると思う。

読後感もよかった。私は明石さんが好きだなあ。



リンクのためにAmazonで「蜜蜂と遠雷」を検索したら、全曲集なるものを見つけてしまった。実際に曲を聴きながら読んでも楽しいんだろうなと思っていたから、これは惹かれる。しかも書きおろしの短編小説入りとかずるい…。

『蜜蜂と遠雷』ピアノ全集[完全盤](8CD)

『蜜蜂と遠雷』ピアノ全集[完全盤](8CD)