頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「漁港の肉子ちゃん」を読みました

西加奈子さんの「漁港の肉子ちゃん」を読みました。

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

  • 作者:西 加奈子
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: 文庫
 

なんか、タイトルのパンチがすごいから敬遠しちゃってたんだけど、もっと早く読んだらよかった。すーごく良かった。

キャラが立ってる。肉子ちゃんはもちろんだけど、周りのみんなも。人間味にあふれていて、身近に感じる。

情景がくっきりと想像できたし、キクりんの心情も伝わり過ぎるほど伝わってきた。表現は平易だけれど、言い回しが豊か。いいなあって思う表現がいくつもあった。
そして小さな描写のひとつひとつが、リアル。わかるわかると頷いたり、昔の自分の醜い心持ちが蘇ってきて落ち込んだり。

完全にまともで普通な人間なんていなくて、大人もこどもも、みんなどこかずれていたり何かを抱えていたりする。町のみんなを見てそう思う。でも、それでいいんだよなあって思えた。サッサンがキクりんにかけたことばが刺さった。

肉子ちゃんの『と読むのやから!』シリーズ、好き。終盤に出てくるひとつには、肉子ちゃんの長年の気持ちがこもっているんだろうなあ。

最後の最後は、ここでそうきたか、と思ってちょっと泣いちゃった。