頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「ふたご」を読みました

藤崎彩織さんの「ふたご」を読みました。

ふたご

ふたご

 

SEKAI NO OWARISaoriさんのデビュー作。お誘いが来てちょっと書いてみましたという感じなのかなと思ったら、まったくそんな感じしなくて驚いた。

夏子と月島、もどかしい。読んでいてつらい。夏子の気持ちがとてもよくわかる。月島の言動を不思議に思う気持ち、傷ついてしまう心の動き、どう対応していいのか困っている様子など。私自身はこんな経験したことないのにわかりすぎて、自分の感情を読み返しているみたいな感覚になった。

状況が動いていく様子とともに、夏子の心情がとにかくひとつひとつ描かれている。
人の心の中の、ごちゃごちゃ絡まったままの部分や薄暗いところ、うまくやれない葛藤、そういうところがきっちりことばになっている。表現が小難しくないから、余計に心に届きやすいのかも。

バンドの話も出てくるので、実体験も入っているのかな。どこまでが本当にあったことなんだろう? もしかしたら、ほとんどが実際に経験したことなのかもしれない。
もしそうだとしても、こんな風に丁寧に心を描写して綴りきって誰かにそれが伝わったなら、苦しかった記憶もつらかった記憶も昇華されるかなあ、なんて思った。

読後、SEKAI NO OWARI のことをWikipediaで読んでみたら、エピソードが重なる部分もけっこうありそうだった。月島はめちゃくちゃなところがあるけれど、Fukaseさんもそうなのかな?とか思ったり。
でもどこまで現実が反映されているとかは関係なく、面白かった。面白かったというか、いいお話だった。普段意識してない心の部分が、たくさん刺激を受けた感じする。

SEKAI NO OWARI はたまに聴くくらいでそれほど興味ないけれど、Saoriさんには興味出た。次はどんな物語を書くんだろう。読んでみたい。

なっちゃんが月島のことを「君」って呼ぶのだけずっと違和感があった)