頭の中のあかない引き出し

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「なつこ、孤島に囚われ。」を読みました

西澤保彦さんの「なつこ、孤島に囚われ。」を読みました。

祥伝社文庫15周年記念(2000年)、『特別書下ろし 長すぎない短すぎない中編小説の愉しみ』シリーズのうちの1冊。

このシリーズで昔、ほかの作家さんのすっごくつまらない本を読んだことがあったので、ちょっと怯えつつ手にとった。

読んでみて、『書きおろしで中編ってなると、実験的なことしたくなるのかな?』とか思ってしまった。

まず、実在の作家さん(倉阪鬼一郎さん、牧野修さん、野間美由紀さん)が登場人物として出てくるのが不思議。リアルでも仲良しな皆さんなんだろうか。野間美由紀さんが元気なのがちょっと切ない。主役の森奈津子さんは架空の人物かと思ったら、あとがきでこれまた実在の作家さんだと知った。びっくり。

しかも、この後にも森奈津子さんがヒロインの作品が出版されているようで、またまたびっくり。

森奈津子さんという作家さんを知らなかったし、作品ももちろん知らないんだけど、性格や口調はここに出てくる奈津子さんと同じようなものと思っていいんだろうか。

物語の中で彼女は、目を覚ますとひとり孤島に閉じ込められている。とは言え悲壮感はなく何だか呑気なのが面白い。バイセクシュアルな奈津子は頭の中でエロな妄想が全開。性の描写バリバリ。そしてたまにコミカル。

一体この物語はどこに向かうの? もしかして内輪ネタみたいにして終わっちゃう? と不安になったものの、中盤からはちゃんと事件も起きて『推理小説』って感じになっていった。

犯行動機もちょっと変わっているし、トリックも再現するのは難しそうだし、面白いかと聞かれたらそれほどじゃなかったんだけど、このノリは嫌いじゃないです(笑)。