頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「新世界より(下)」を読みました

貴志祐介さんの「新世界より(下)」を読みました。

面白かった…!

下巻も本当にハラハラドキドキで。主人公たち、ピンチに陥り過ぎだし四面楚歌になり過ぎだし九死に一生を得過ぎだった。何度も『もうこんなの無理でしょ』と思ったけれど、この物語自体が主人公「早季」の手記として書かれているものなので、『ってことは少なくとも早季は生き残るんだろう』というところを心の拠り所にして何とか心の平静を保ちつつ読んだ。しかし一方では、思い返して記述するという手記の性質から、途中途中で少し先のピンチを予告するような記述が出てくる。そのたびに『この上まだ危機が!?』と戦々恐々としてしまった。

後半、怒涛の展開。最後の作戦は、まさかと思った。内容を切り札の相手に伝えるのに、躊躇は無かったんだろうか。私なら言えないし、やれない。覚悟の決まった者同士だからこそ成り立つ作戦だったのは理解できるけれど、それにしてもすごいなと思った。

驚かされたのは、悪鬼の秘密やバケネズミの正体。なんて罪深いんだろう。愕然としてしまった。

失ったものがあまりにも多くて、喪失感がすごい。それでも、変化の兆しは見えているし、変わろうとする人がいる限り期待は持っていいのかなと思った。

上中下、合わせて約1450ページ。かなりの長編だけれど、飽きることなく最後まで楽しめた。すっごく面白かった。

 

492ページ ルビ
あびきゅうかん→あびきょうかん