「メアリー・スーを殺して」を読みました
アンソロジーとは言っても、執筆陣の中田永一、山白朝子、越前魔太郎はすべて乙一さんの別名義なので、乙一さんひとりのアンソロジーなのだけど。おまけに解説の安達寛高は乙一さんの本名らしいので、全部ご本人!
ちょっと不思議な話が多くて、どれも面白かった。特に前半4つが好み。
「愛すべき猿の日記」
すごいオチがあるわけではないのだけれど、あるきっかけでいろいろなことが変化していく様子が好き。読後もじわじわくる。
「山羊座の友人」
いじめの描写で嫌な気分になるけれど、不思議要素で力が抜けて和む。青春あり、ミステリーあり、100ページほどの作品と思えないくらいぎゅっと詰まっていて楽しめた。
「宗像くんと万年筆事件」
児童書っぽい雰囲気が漂っていて読みやすい。謎解きもあって飽きなかった。切ないけどいい終わり方。
「メアリー・スーを殺して」
タイトルから殺伐としたお話を想像していたら、全然そんなことなかった。メアリー・スー、初めて知った。殺す動機も、殺し方も、殺したあとのできごとも、全部よかった。うまく言えないけどすごく好き。