「いつか海に行ったね」を読みました
久美沙織さんの「いつか海に行ったね」を読みました。
久美沙織さんといえば「丘の家のミッキー」しか知らなかったので、こういう作品があったことにびっくりした。
日本のいくつかの場所で起きる、いくつかのちょっとおかしなこと。徐々にそれらの意味が繋がっていく。
身近に起こり得る恐怖。コロナ禍を経験している今だからこそ、余計によくわかる。何かよくわからない恐ろしいことが、ひたひたと近付いてくるこの感じ。こわい!
真紀子の話がつらかったな。こういう境遇になったらこんな心情になるよねと、すんなり納得できてしまった。かわいそうすぎる。
ひとつひとつのエピソードは長くなく、深追いせずに次へ行く。それでもエピソード同士の繋がりから、登場人物たちの辿った経過が想像できたり末路がわかったりする。そして大体、向かう先は絶望。
全部で159ページと短い作品だけれど、余韻が濃く残った。