頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

霧の橋

霧の橋
乙川 優三郎

おすすめ平均
いつの世も変わらぬもの
藤沢周平が好きならOK
静かな感動が広がります
どこかの書評に「蘇った武士の意地」といったものがありましたが、違いますね。

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時代小説はほとんど読んだことがないのですが、とても面白かったです。 本の裏の説明には、『武士を捨てた「惣兵衛」にやがて武士魂が甦り、妻は夫が武士に戻るのではと不安を感じ、心のすれ違いに思い悩む』といったことが書いてあります。 そこを事前に読んでいたので、宗兵衛はてっきり武士に戻りたくなって刀を持ってうろついたりするのかと思ってたんです(笑)。 でもどちらかというと、メインは武士魂ではなく商人魂という感じでした。 一歩一歩「商人」の道を進んでいたものの、武士の魂が残っていたことに気付く事件が・・・というのはあったのですが。 大店の陰謀に(もちろん刀はなしで)立ち向かっていく様子は、面白いしドキドキもしました。 たしかに時代小説なのだけれど、読みやすいし、ストーリーも夢中になれる展開を見せてくれます。 後半の、宗兵衛の心の動きや妻とのやり取りにも引き込まれました。 ラストはちょっとアッサリ感があったけれど、その後の会話を想像させるという意味では素敵な終わり方なのかも。