頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「なんとかしなくちゃ。青雲編」を読みました

恩田陸さんの「なんとかしなくちゃ。青雲編」を読みました。

この本、小説なんだけど、勝手にエッセイと思って読み始めちゃったんだよね。『世の中の「キモチワルイ」をスッキリ整理』っていう帯のワードが目に入ったのと、本屋さんで朝井リョウさんのエッセイ本の隣に並んでいたからそう思い込んでしまったのかも。

実際、出だしはエッセイっぽい感じで始まったのですよ。なのにいきなり主人公についてのナレーション的説明が始まったと思ったら、ずっと主人公の話が続くから戸惑った。あれ?エッセイじゃなかったの?と。

どうやらこれは小説なんだなとやがてわかったけれど、ちょっと変わったスタイルの小説だった。途中で恩田陸さん目線の解説やつぶやきが入ってくるんだよね。

梯結子(かけはしゆいこ)という女性の一生、がテーマらしい。朝ドラ的な小説。

結子の幼い頃からのエピソードが割と淡々と語られていく。面白くないわけではないんだけど、すごく面白いかと言ったらそこまでのめりこめなかったかなー。

結子をあまり好きになれなかったのかもしれない。結子は、日常のちょっと不便なことやうまく回っていない部分を『キモチワルイ』と感じて、それを人が思いつかないような方法で鮮やかに解決したりする。それを特別なこととは思わず、誰でもそうするでしょといった感じで。

努力もしているし、優しい心も持っているし、まったく嫌な人ではないんだけど、なんかね。すごいことをサラッとこなしてしまったり、ブレない自分を持っていたり、人が悩むようなことを悩みに感じなかったり、観察眼はあるのに自分のすごさとか相手の気持ちとかには少し鈍感だったりするところ、ちょっとイヤだなあと思ってしまったんだよね。妬みかな!?

朝ドラの主人公、って割り切って読めば良かったのかも。普通にその辺にいる人のような感じで読んでいたからちょっと癪に障ってしまったのかもなあ。

「いけない II」を読みました

道尾秀介さんの「いけない II」を読みました。

面白かったー。道尾秀介さんの小説、何でも面白い説。

序盤からもう、これ面白いでしょって感じがバシバシ。面白いとわかってるものを読む安心感!

ストーリーがそれほど動いていない部分の文章でも面白いんだよなー。何なんだろ。解像度がすごいのかな。ちょっとした光景がちょっとした感じで描かれてても、それがクリアに目に浮かぶから没頭できるのかも。

前作「いけない」同様、各章の最終ページに写真が挿入されていて、それを見ることで隠された真相を発見してねという作り。

写真を見て「そういうことかー」とわかったり、「やっぱりねー」と思ったり。次の章を読むと、前の答え合わせ的な文章が出てきたりもするのでそこでも事実が再確認できる。

「いけない」よりも、のめり込んで読んだ。私は断然「いけない II」の方が好きだ。今回の方が推理はわかりやすいんじゃないかと思う。ピンときて理解するのが快感。

4つの章はそれぞれ別のストーリーではあるけれど、少しずつ登場人物が絡み合っているので気が抜けない。最後まで夢中で読んだ。

推理したり発見したりする楽しさだけでなく、読みながら感情もけっこう揺さぶられた。ホッとしたり、ハラハラしたり、絶望したり。そうであってほしくないという結末が写真によって決定づけられてしまうと、切ないというかつらいというか、やり切れない気持ちになったりもした。

読後、しばらく思い返して登場人物たちのその後の気持ちなどに思いを馳せてしまってた。ほとんどみんな哀しいんだもん。

「アミュレットホテル」を読みました

方丈貴恵さんの「アミュレット・ホテル」を読みました。

犯罪者御用達のホテルが舞台。会員資格を持つ犯罪者のみが宿泊可能で、2つのルールさえ守っていればどんなサービスでも(法に反するものでも)提供してもらえるという。

 

この設定だけですごく面白いと思い、読んでみた。

 

ところが何だか読みづらく。最初の『Episode1 アミュレット・ホテル』の時点では、あんまり面白くないかも?と思いながらダラダラと読んでいた。語り口のせいなのか、うまく没入できなくて。地の文が説明っぽい感じがしたのかな。それか、説明に面白みが無く感じたのかもしれない。

 

その次の『Episode0 クライム・オブ・ザ・イヤーの殺人』からはなぜかそういったことは気にならず、入り込んで楽しく読めた。

この文体に慣れたのか、文章の感じが変わったのかはわからないけど。

 

結果、面白かったし、このホテルもメンバーも好きになった。続編も出ているようなので読みたいな。文庫になったら。

「君のクイズ」を読みました

小川哲さんの「君のクイズ」を読みました。

テレビのクイズ番組で、問題が読まれる前にボタンを押して正解し、優勝をさらった男がいる。

一文字も聞かないで正答を導くことなど果たして可能なのか。ヤラセなのではないか。敗れた三島は、調査を始める。

読む前は勝手に、哲学的であまりストーリーらしきものはないようなお話なのかなと思っていたのだけれど、そんなことなかった。

『ゼロ文字押し』の真相を考えていく中で、三島のクイズへの取り組み方やクイズとの関わり、クイズへの想いなどが見えてくる。

クイズを究める人たちはこんなに一瞬でいろいろ考えているんだと知って驚いた。どこまで聞けば複数の候補の中からクイズの答えが確定するのか、そんな風に考えたことはなかった。
多岐に渡る知識だけあっても勝ちきれない。工夫や直感力、読み上げの声からの予想、経験から答えを引っ張ってくる力、そういうものをすべて味方につけてクイズに挑んでいくんだね。
『クイズに正解するということは、その正解と何らかの形で関わってきたことの証だ。』っていうのは、本当にそうだなあと思った。クイズに限らずだけど、問いに対する答えは自分の中からしか出てこないってこと私も知ってる。

物語にものすごいアップダウンがあるというわけではなく、文章も淡々としているのだけれど、読みながらじわじわ気持ちが盛り上がった。面白かった。

「時をかけるゆとり」を読みました

朝井リョウさんの「時をかけるゆとり」を読みました。

何冊か朝井リョウさんの作品を読んだことがあるのだけれど、そのたびに好きだなーと思ったのでエッセイにも手を出してみた。

結果、やっぱり好きだなあーと思った。
間が抜けた失敗やあまり聞かないような珍しい経験が多いからネタの時点でもう面白いんだけど、それが絶妙なワードチョイスと独特な表現で語られるので更に面白い。

ただ、30ページ分くらいあった就活関連のお話はあまり楽しめず、ここを読み終わるのに数ヶ月もかかってしまった。

たまに、『このセリフはちょっと盛ってなーい?』なんて思う部分もありつつ、全体的にはとても楽しく読んだ。

いろいろ念入りに考えるのに、考えなくちゃいけないところにはまったく思い当たらないままで最後にびっくりしちゃうところとか、すごく好き。

「夢の鍵」を読みました

松田英子さん監修の「夢の鍵 あなたの未来を思い通りに」を読みました。

項目ごとの文章は短め、文字も割と大きいのでさくさく読めた。内容も、いいとこ取りでコンパクトにまとまっているなあという感じ。

夢についてのあれこれや明晰夢をみるためのポイントが書かれ、最後に夢分析がいくつか。

わかりやすかったけれど、夢の本をいろいろ読んだことがあると少し物足りなく感じるかも。

金縛りからの抜け方のコツは、今度試してみようと思った。

松田英子さん監修だけどそういえば誰が書いたの?と思ったら、著者の表記がどこにもなくて不思議だった。奥付を見ると、「文 葛山あかね(PART1〜3)」となっていた。

葛山あかねさんという方、ネットで調べてみると、会社やお店のインタビュー記事などで名前が出てた。ライターさんなんだね。

筆者の扱いにはなっていないってことは、松田英子さんにお話を聞いて松田英子さんの語り口で葛山あかねさんが文章にしたって感じなのかな。パチパチでいう宇都宮美穂さん的な?

「鏡じかけの夢」を読みました

秋吉理香子さんの「鏡じかけの夢」を読みました。

「泣きぼくろの鏡」、「ナルキッソスの鏡」、「スタアの鏡」、「奇術師の鏡」、「双生児の鏡」の5篇が入った短編集。それぞれ独立したお話なのかと思っていたら、登場人物こそ違うものの、いずれも同じ鏡がからむ物語だった。

面白かった。すぐに引き込まれた。読みやすいし先も気になる展開だしで、あっという間に読み終えてしまった。

場所も時代も登場人物も違うし、語り口も違うのだけれど、共通するのは何かを願う気持ちの強さ。それが鏡にどう反射されるのか、果たしてどこまでが鏡の力なのか。ざわざわした気持ちで読み進めると、ダークで思いがけない結末を迎えるものだから、余韻がすごい。

どれも面白かったなーーー。哀しいんだけどね。