「シーソーモンスター」を読みました
伊坂幸太郎さんの「シーソーモンスター」を読みました。
8作家が共演する〈螺旋プロジェクト〉の中の1冊。この企画は、伊坂幸太郎さんが「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」と呼びかけて生まれたんだって。
何その楽しそうな企画! もうグラッグラ惹きつけられちゃった。
「シーソーモンスター」にはふたつお話が入っていて、ひとつは昭和後期が舞台の「シーソーモンスター」、もうひとつは近未来で「スピンモンスター」。
どちらも面白かった。
「シーソーモンスター」では、嫁姑の争いが描かれる。『嫁』の元の職業が意外。
どちらも上手くやりたいとは思っているのにどうしてもぶつかってしまう二人。そういうことあるよねとも思ったし、いくらなんでもコントロールできなすぎでは?とも思った。
お義母さんの隠していることについては、ちょっと予想がついてしまう部分があったな。
「スピンモンスター」は、近未来。シーソーモンスターと時代は違うけれど、繋がりがある。これはあの時のあれね、っていうのが楽しかった。
記憶の曖昧さや、まだよくわからないAIの力がそこはかとなくおそろしかった。
両方のお話を読んだら、土台になる背景がうっすらと見えてきた。海族と山族の対立、そして審判。おそらくどの作品にもこれらの存在が登場してきて、望む望まないにかかわらず、ぶつかり合ったり避け合ったりするんだろうと思う。
世界には抗えない大きな力があるみたい。でもそれを知っている人も知らない人も、それぞれ自分自身で感じて考えて生きていて、それがなんかいいなって思った。