頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

トリツカレ男

トリツカレ男

いしい しんじ
新潮社
文庫
ジュゼッペは、通称「トリツカレ男」。次々といろいろなものにとりつかれては、周りが見えなくなるほどに夢中になってしまう。そんなトリツカレ男がもっとも深くとりつかれたのは…。 文字が大きめで行間も広め。語るような文体。童話のような物語でした。 1章を読み終えた段階では、『特にオチはなくて雰囲気を楽しむお話なのかな』という印象だった。でも間違いだった。何とも先の気になるストーリー展開。過去にとりつかれていたことがきちんと財産になっているところに気持ち良さを感じつつ、一気に読み終えました。 途中で切ない場面がありながらもちゃんと素敵に終わっていて、読後はあったかーい気持ちに。もう一度、今度はゆっくり読み返したいなと思わせられる作品でした。