頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「ヒア・カムズ・ザ・サン」を読みました

ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)

ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)

有川浩さんの「ヒア・カムズ・ザ・サン」を読みました。

基本設定が同じだけれど、異なるふたつの物語。私はパラレルの方が好きかな。

でも両方とも何だかさらっと読んでしまった感じ。涙腺刺激されたし、心が動かなかったわけではないのだけど。

有川さんらしい言い回しが今回は妙に鼻についてしまう感覚があって、純粋に物語を楽しめなかった感じ。そのせいか、読み終わっても何だか感想を書く気がなかなか起きず。

3週間くらい経ってしまい、年も明けてしまったので、残っている記憶だけでとりあえず書きましたーー。

「未必のマクベス」を読みました

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

早瀬耕さんの「未必のマクベス」を読みました。

帯。帯の文章に影響を受けて買ってしまった。だって、『読後、ただ立ち尽くした』『物語を一緒に生きる という体験』『本の形をしたラブレター』『本書を読んで早川書房に転職しました』とか言うんだもん! 読むよね!?

しかし、今回もまた帯ほどの衝撃は受けずに終わり、少し残念な気持ちに。帯を見なければよかったのかもしれないけれど、この本に関しては帯が無かったら買っていなかったと思う。

読み始め、のめり込むほどの面白さがなかなか見いだせず。600ページほどある長い作品だし、もうやめてしまおうかなと何度か思いながら読んでいた179ページ目、ようやく面白くなった。

登場人物たちの個性がみんな強く、惹きつけられた。それでいて誰もがつかみどころがないような感じで、行動の根拠もうまく理解できないことが多かった。誰を信じていいのかもわからなかった。

ラストは、これでよかったんだなとも思ったけれど、でも切なかった。行動も展開もまさに未必。違う未来を選び取ることもできただろうと思う。それと、最初にマカオで出会ったあのひととは、最後はどんな風だったんだっけ?忘れてしまったし、何だかよくわからないまま読み終えてしまった気がする。

マクベス」の背景が全体的に横たわっているような物語だった。

「残穢」を読みました

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

小野不由美さんの「残穢」を読みました。

きっとすごく怖いんだろうなあと身構えつつ読んだ。実際にやはり怖かったものの、読んでいる間は震え上がるほどではなかった。

さまざまな人物が次々に出てくるため、後からまたその人物の話が出てくると、どんな人だったか忘れてしまっていて困った。何度か手を止め、前に出てきた場面を探して確認した。

ホラーだけれどミステリーな要素もあり、先が気になる展開だった。

現実の地名や事件の名称がそのまま出てくるなあとは思っていたのだけれど、途中、平山夢明さんの名前が出てきたところで、『あれ?』と考えてしまった。もしかして小野不由美さん自身が『私』なのか。だとしたら、この作品はどこまでがフィクションなんだろうか。

それに思い当たると、怖さが増す。そして終盤、自分のところは大丈夫だろうかなどと考え始めてしまうのだ。これを読んで良かったんだろうかとも。そういうところでの余韻が残る。強くはないけれど長く、怖い気持ちが続くであろう作品。

「ラバー・ソウル」を読みました

ラバー・ソウル (講談社文庫)

ラバー・ソウル (講談社文庫)

井上夢人さんの「ラバー・ソウル」を読みました。

とても厚い本。678ページ。物語は、登場人物たちそれぞれの語りと、主人公視点の文章とで進んで行く。

井上夢人さんの作品は、どれも読みやすくて入りやすい。この作品も例に漏れず、どんどん読めた。ただ、前のパートで既に出てきたような説明の文章が後のパートでも何度か出てくるので、途中、少し冗長に感じてしまった。この分、本が分厚くなってしまったのでは? とも思った。

最後はどう着地するんだろうかと、漠然とした展開をいくつか思い浮かべつつ読んでいた。しかしどれとも違う結末。読後は哀しさや安堵感ややりきれなさ、腹立たしさ、切なさ、いろんな感情が頭を占めた。

ラストは、あの方のあの作品と少し近いかなと思った。展開というか、動機や心持ちみたいな部分が。

仕掛けについては最後までわからなかった。途中でわかるような仕掛けではなかったけども。でもごまかされていた部分は、ここはどうやったんだろう?と思ってはいた。

他のことは、書くと何だかどれも核心に触れてしまう気がするので、内容についてはここまででおしまい。何も知らずに読んだ方が、心に響いて余韻が残る作品ではないかと思う。


「うまれる」の表記が「生れる」なのが気になった。間違いではないみたいだけど、「生まれる」で慣れているので「生れる」が出てくるたびに目に飛び込んできて。気が散ってしまった。

他には「ゆれる」が「搖れる」だったり、「つかむ」が「摑む」だったり、「つながる」が「繫がる」だったり、難しい方の漢字を選んでいるのかなーと思った。いつもそうだったかは思い出せない。今作だけだとしたら、何か意図があるのかな?

あと帯! 帯に文句つけたい。あれはもはやネタバレに近い。バラしてはいないけれど、物語の方向性をあんなに盛大に発表して欲しくない。読まないようにしても字が大きくて目に入ってしまうし。販促として効果があるのはわかるけれど、読後の衝撃や感動をかなり奪っていると思う。そのうち読むかもしれないダンナさんのために、帯は外しておいてあげたぜ!

裏表紙のあらすじは、読了後に読んでみたらネタバレまったくされていなかった。これを書いたひとは本当はもっといろいろ言いたかっただろうな苦労しただろうな、と労いの気持ちでいっぱいになってしまった。勝手に(笑)。

「君の膵臓をたべたい」を読みました

住野よるさんの「君の膵臓をたべたい」を読みました。

タイトルだけ聞いた時にはちょっと不条理な感じの内容なのかなと想像していたのだけれど、映画の紹介をちらりと見てそうではないと知り、気になっていた本。

先が気になって何だか読み急いでしまった感じ。もったいなかったな。もっとゆっくり丁寧に読んだ方がいいお話だと思う。

呼び名の仕掛け、なるほどな~こういう感覚わかる気がするって思いながら読んだ。呼びかける口調や声音には、相手への気持ちや意識が反映されると思う。

展開が悲しかった。最初の段階からそれはわかっていたことではあるけれど、そこから想像していた以上につらい展開だった。何度か涙出た。

主人公が質問をしたあとの彼女の表情に、涙腺がグッとなった。後半、彼のやりきれない思いにしめつけられた。主人公が「いいですか」と聞く場面の前後で泣けた。

でもラストのシーンは微笑ましく、好きな感じの終わり方。

文体、というか文章の作られ方は少し今っぽいなと感じた。僕視点だから若く描かれているのかもしれないけれど、住野よるさんの作品を読んだのは初めてなのでまだその辺りはよくわからない。また同じ夢をみた、だかそんな風なタイトルの本も気になっているのでそちらも読んでみたい。

あと主人公の名前、勝手に心の中で赤川圭吾って名付けて読んでいた。後半の彼女のセリフで下の名前はこれじゃないなとわかったけれど、名字もやっぱり違ってた(笑)。

「駅物語」を読みました

駅物語 (講談社文庫)

駅物語 (講談社文庫)

朱野帰子さんの「駅物語」を読みました。

舞台は東京駅。配属されたばかりの新入社員が主人公。過去に自分に優しくしてくれた5人を探し出したいと思いながら、日々頑張っている。

駅員として未熟な上に、さまざまなトラブルが降りかかってくるけれど、怒られても凹んでも、めげない。めげないけれど、自信のなさや心の傷もたびたび顔を出す。読んでいくうちに、応援したくなってくる。

同期の駅員や先輩駅員、主人公が探していたひとたちもそれは同じで、弱いところもあれば強いところもあり。彼らが精神的な課題をクリアしていく様子や、主人公と心がふれあう様子が微笑ましい。

ストーリーは、出くわしたトラブルの中心人物がまさに探していたひとだったり、いい感じに展開が進んだり、少しうまくいきすぎかなという感じがしないでもない。でも毎日たくさん出会った中から、探していたひとたちとの再会だけをピックアップしたお話だと思えばいいのかな。そうでないにしても、このお話はこれくらいでいいのかもしれない。駅は奇跡が起きる場所だから。

盛大に感動した訳ではないのだけれど、読み終えてみると、いい話だったなあと満足が残った。面白かった。登場人物たちの性格がわかりやすく、感情移入しやすかったのも楽しめた要因のひとつかな。あと、マンガになってもしっくりきそうな作品だなーと思った。

「満願」を読みました

満願 (新潮文庫)

満願 (新潮文庫)

米澤穂信さんの「満願」を読みました。

ミステリーの短篇集で、6篇の作品が収録されている。このどれもが面白かった。すべて面白いってすごい。

淡々とした文体だけれど、引きつけられて止まらなかった。何か起こる、何か隠されている、そこに疑いがないので先が気になって仕方ない。

どれも後半で一気に謎がクリアになり、展開も意外で気持ちいい。しかし読後には、どの作品もやりきれない気持ちや絶望感が強く残る。主人公たちの先のことを想像してみても、幸福な予感はまったくせず、居心地の悪い感じが残る。でもそこが好き。

中でも「柘榴」「万灯」「夜警」が好みかな。