頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「汝、星のごとく」を読みました

凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」を読みました。

2023年、本屋大賞受賞作。

櫂と暁海、ふたりの人生を私も一緒に生きたなあというような読後感だった。

17歳から32歳までの櫂と暁海の人生が描かれている。どちらも親に問題があって、共感から親しくなっていく。楽しい時期もあるけれど、これでもかというくらいつらいことがたくさん起きる。

ふたり以外の登場人物たちも、どこかのタイミングで失敗したり、つらい思いをしたり、重いものを背負わされたりしている。

彼らにとって人生は、きっと楽しいものではないんだろうと思う。それでも捨てられないものがあって、忘れられないものがあって、大事にしているものがあって。絶望しても何とか歯を食いしばって生きる姿は健気で、弱さもあるけれど強いなあとも思った。
考えていることは生々しくてリアル。心の汚い部分、弱い部分がきっちり描かれていて、この境遇に立ったことはないけれど、想像だけでも読んでいてつらくなってしまった。

大きく分けたら恋愛小説ってことになるのかな。恋愛モノって割と苦手なんだけど、これはむしろ人生モノって感じ。先が気になって、手を止めずどんどん読めた。

事象だけ挙げていくと壮絶な物語だけれど、起こった出来事の凄さよりも、それぞれの登場人物が一生懸命に生きる姿を見た、という感覚が強かったな。

ハッピーエンドとは言い難い結末。でもバッドエンドかと言ったらそんなこともないと思う。もっとこうだったらいいのにって思いはもちろんあるんだけど、正解は私の方にはないんだ。

覚えておきたいフレーズがいくつもあった。この作品は長く心に残りそう。そしてまたいずれ読み返したくなりそう。