久しぶりの
恩田陸。
これは、ひたひたと怖いストーリー。
水に囲まれた街で起こった不思議な出来事。
盗まれた人々。
戻ってきた人々。
気付いた人々。
彼は本物?彼女は本物?
自分は本当に自分?
・・・って感じの内容。
裏表紙に書いてあった文章を読む限りは期待してなかったんだ。
だって、「まさか宇宙人による誘拐か、
新興宗教による洗脳か、それとも?」なんて書いてあるんだもん。
でも面白かった。最初は情景の描写が多いんだけど、ストーリーが展開するにつれて勢いづくという感じ。
出て来る人といい、話の展開の方向といい、こういうの好き。
恩田陸の表現の仕方って、難しくないんだけど新鮮な感じを受けるから好きなの。
例えば主人公が子供の頃のことを思い出している場面で、『雨の音が落下の音なのか着地の音なのかひどく気になったことがあって』って。
主人公はちょっと変わった感覚を持っているという設定だから子供の頃もそうだったんだなっていうのが伝わるんだけど、だからってこういう風に書けるのってこういうことが思いつくのって、何だかスゴーイって思っちゃった。