文庫で厚さが約3cm、854ページとかなりボリュームがあります。
にもかかわらず、残り半分は我慢できずに一気に読んでしまいました。
明け方まで本を読んだのなんて本当に久しぶりです。
それくらい、面白かった。
発端はひとつの殺人事件。
とは言え、単にその事件の犯人を捜していくだけの
推理小説ではありません。
展開も年月の経つスピードも速いし、最初の殺人以外の事件も次々に起こります。
面白いのは、章ごとに違った人物からの視点でエピソードが描かれていき、読んでいく内に関係が次々とつながっていくところ。
中でも、ある2人の人物をめぐるつながりが際立ってくる。
この、段々つながっていく感じ、連鎖していく感じが気持ち良いのです。
更に、犯人が誰だかまったくわからない状態ではなく、何となく『この人は関係あるに違いない』というのを匂わせながら話が進んでいく感じです。
それが一体どんな風に判明するのか、または判明しないで終わるのか・・・といったことが気になって気になって。
ページをめくる手が止まりませんでした。
そして、今までの
東野圭吾の作品にはなかったような暗さ。
哀しいのです。
ただ、不思議なことに読後感は悪くありませんでした。
犯人の心に、確固たるものを感じていたからかも?