頭の中のあかない引き出し

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「最後のトリック」を読みました

深水黎一郎さんの「最後のトリック」を読みました。

 

最後のトリック (河出文庫)

最後のトリック (河出文庫)

 

ある日、作家である主人公のもとに不思議な手紙が届く。「読者が犯人」という究極のトリック(しかも実現可能)を考えついたので、買い取ってもらえないかという内容。

この取引に応じるのか、途中で挟まれるエピソードには意味があるのか、トリックとはどのようなものなのか、いろいろ気になるのでどんどん読めた。

たしかに、この差出人にしか考えつかないような変わったトリックだった。ちょっと特殊すぎる条件がつくので真似しようとしても無理だけれど、この作品の中では完成していたし納得できた。

敢えて明かされていなかった事実があり、そこはずるくないかとちょっと思ってしまったものの、こういうトリックを成立させるにあたっては必要だったんだろうなとは思う。構成が工夫されていて、読んでいて少しずつ『あれ?もしかして?』となるのが楽しかった。

 

つらい思いも多かった彼の人生が、きちんと報われたものになるといいなと思う。

 

物語の中身には関係ないけれど、「いちように」が1ヶ所だけ平仮名だったのは別に意味はないのかな。こういうの、いつも間違いなのか表現の一環なのか気になってしまう。