頭の中のあかない引き出し

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「ジャッジメント」を読みました

小林由香さんの「ジャッジメント」を読みました。

舞台は20XX年。『復讐法』という法律が生まれた。犯罪者から受けた被害内容と同じことを、被害者または遺族などが合法的に刑罰として執行できるというもの。

大切な人が殺された時、人は復讐を選ぶのか。

物語は5つの章から成っていて、傍観者としてすべての章に登場するのが、応報監察官の鳥谷文乃。

「応報監察官」というのは、復讐法に基づく刑の執行について、確認、監察、報告などする仕事。執行者が犯人を殺そうとする様子も見届けなくてはならず、そこには常に葛藤や辛さがつきまとう。

執行者にとっても、苦しい作業だなあと思う。復讐を遂げたからといって楽にはなれないし、却って辛さが増すおそれもある。

殺す側、殺される側、それぞれの事情を知ってしまうと抱く感情も変わってくる。1章から3章にはちょっと救いを感じる部分もあったけれど、どの章の結末にも、やりきれない思いは残った。

4章「フェイク」と5章「ジャッジメント」はキツかった。蒔絵と本田が憎たらしい。同じやり方で復讐をしても、届かない相手には届かない。復讐にも痛みは伴うのに、なんかこれじゃあ被害者側がやっぱり損だよね。

しばらくモヤモヤどんより考えてしまう。読後感はぜーんぜん良くないです!(笑)


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