頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「古本食堂」を読みました

NetGalleyで、原田ひ香さんの「古本食堂」を読ませてもらいました。

3月15日発売予定です。

 

舞台は神保町の古本屋街、鷹島古書店。店主の鷹島滋郎が亡くなり、その妹である珊瑚が北海道から出てきてひとまずお店を引き継ぐことに。そして滋郎を大叔父に持つ大学院生の美希喜は、鷹島古書店に通い珊瑚を手伝うようになる。

優しいお話。でも、単なるほんわかした話ではなく、生きていく中でのイガイガした部分や躓く部分が描かれていて、ちょっとドキッとさせられた。

お店には、悩みごとなどでちょっと心が立ち止まってしまいそうな人が訪れる。悩みを話し、おいしい物を食べ、本に出会い、悩みも気持ちも和らいでいく。

人が本と人をつなぎ、本が人と人をつなぐのって、なんかいいなあと思った。
本がきっかけで自分の中の何かが解決したり、人生の方向性さえ決まったりすること、割とあると思うし、そこはけっこうリアルだなあと思った。

お店で食べ物を食べる場面は、ストーリー的に大切な部分を担っているとは思うものの、もし自分がこのお店に入って店員さんと別のお客さんが物を食べてたらちょっとイヤだろうなとか思ってしまった。ニオイもしそうだし。先日、新しく見つけた古本屋さんに足を踏み入れたらタバコくさすぎて、すぐに出てしまったことを思い出した。

とは言え、どれもおいしそう。ボンディには一度だけ行ったことがあるので、読みながら「そう、そう、懐かしい」と嬉しくなった。

第一話から最終話まで、どのエピソードも悪い展開にならない。終盤では意外な事実が明らかになりつつ、どれもこれも明るい未来を思わせてくれる穏やかな終わり方。良かった。この先も見てみたいから、番外編とか続編とか出て欲しいなー。