頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「隠居すごろく」を読みました

西條奈加さんの「隠居すごろく」を読みました。

糸問屋「嶋屋」の6代目主人を引退し、隠居生活を始めた徳兵衛。商いを離れ穏やかな日々を送るはずが、孫の千代太(8歳)がやってきては厄介事を持ち込み、心も体も休まらない。

徳兵衛は割と頑固ですぐ怒鳴り散らすし、千代太もこうと決めたら折れない上にしつこい。それぞれ心が優しいことはわかるのだけれど、しばらくはどちらにもイマイチ感情移入できずに読んでいたかな。

でもその後は少しずつふたりの関係がしっくりしてくるし、登場人物も増えて状況もどんどん変化してくるので楽しめた。

300ページが近くなった頃からは、それまで以上にめまぐるしく展開が動くので目が離せない。

徳兵衛は千代太と関わるうちに心情や言動に変化が起きて、価値観すら変わってくる。その様子や人との関係にグッときちゃって、涙腺を何度も刺激されてしまった。

456ページと少し長めの本だけど、その分、徳兵衛たちの歩んできた道が心に沁み渡って読後は胸がいっぱいに。徳兵衛の第二の人生を一緒に体験したような満足感。面白かった。

余韻に浸っていたら、急に犬のこと思い出した。シロどうなったんだっけ?(笑)