「殺した夫が帰ってきました」を読みました
桜井美奈さんの「殺した夫が帰ってきました」を読みました。
5年前に夫を殺した茉菜。上京して仕事に忙しい日常を送っていたのに、ある日、死んだはずの夫が「ただいま」と帰ってくる。
先が気になる展開でどんどん読めるし、からくりは意外で面白かった。
でも、ちょっとわかりにくいところが多かった気がする。
和希が帰ってこなかった日の翌朝、帰ってこないことは決めていたことなのか偶然なのかと茉菜が考えていた部分。昨日の時点で友人宅に泊まると聞いていたのに、偶然帰ってこないって何だろ?と思ってしまった。
本当に偶然この日に友人と約束をしていたのか、帰ると都合が悪いから急遽、帰らないように計画したのか、そもそも友人と会っていないのか、そのへんを考えてたってことなのかな。わかりづらかった。
会話でも、セリフの意図がよくつかめないことが2度ほどあった。
失言に気づいたあと、「ゴメン! そうじゃないの。そういうことじゃなくて、私はただ…!」と言っていた場面もそう。相手も「わかってる。言われても仕方がないよね」と返しているのだけれど、具体的にどの部分をなぜ失言と感じているのかがわからなかった。
私にとっては、補完しながら読む必要がある文章の書き方だったかな。こまかい部分で何度か引っかかってしまった。読み手もわかっているって前提で登場人物たちのセリフや表情が描かれているように感じた。だから何だか、物語に没頭して入り込むというより、出来上がっている物語を聞いているって感覚で読んでた。結果、どの人にもイマイチ感情移入できないまま終わってしまった。
展開は面白かったんだけども!