頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「うつくしが丘の不幸の家」を読みました

町田そのこさんの「うつくしが丘の不幸の家」を読みました。

「おわりの家」「ままごとの家」「さなぎの家」「夢喰いの家」「しあわせの家」、の5篇。

うつくしが丘という住宅地に建つ、とある家が舞台。この家に住むと必ず不幸になって出て行くことになる。「不幸の家」と呼ばれているらしい。

お話ごとに住人は違うのだけれど、その誰もがこれはキツイなあという状況にあり、イライラしたり、気持ちが倦んでいたり、どこかで人生を間違えたと感じたりしている。

でもそれが、何かで大きく変わることもある。見方ひとつで相手への感情が真逆になったり、誰かの言動がきっかけになって事態が驚くほど好転したり。

不幸も幸せも「不幸の家」も絶対的なものではなくて、誰が何を見て何を思うかにもよるのかも。

どのお話でも家が自然に関わっていて、ストーリーに馴染んでた。最初の話はちょっと都合よく展開したように感じたけども。

物語は時系列が逆になっていて、章ごとに前の住人へと話が遡っていく。読んでいると、さっきの話のあれはこの時のこれなのねーというのが見えて面白い。普通に時間順になっているよりずっといいなと思った。

グッときちゃう部分もあったし、各章のラストも良かった。エピローグのラストも嬉しくなる。読後もしばらく、住人たちのその後を想像して楽しめた。

信子さんの言ってた「あの子」が、あの子のことだといいなと思った。根拠は薄いけど。