頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

少女

少女 (双葉文庫)

少女 (双葉文庫)

視野の狭さ、思い込み、いじましさ、必死さ。そしてまっすぐ。高校生ならではの心情や言動がこれでもかというくらい詰め込まれていて、ああ〜『少女』ってこうだよねえと思った。

人間関係のつながり具合や起こる出来事の特殊さは確かにフィクションだけれど、人間の描かれ方はリアル。伏線の回収されっぷりと報いの受け方が気持ち良かった。アスタリスクについては、まったく気付かず読了〜。

ストーリー・セラー

ストーリー・セラー (幻冬舎文庫)

ストーリー・セラー (幻冬舎文庫)

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2015/12/04
  • メディア: 文庫
有川さんの作品ということで、きゅんとする感じを勝手にイメージして読み始めたら、途中で読むのがつらくなるほどの重い展開。ずるいって言われたら作家はすごく嬉しいというような記述があったけれど、有川さんもそう言われるのわかってて書いてるよね?という感じ。ずるくてすごくおもしろい。どこまでがどうなのかを考えるのも楽しかった。
SIde A のラストは、もしかしてそういうこと?と思うことがあって、でもそうじゃないといいなとも思って。だから、確かめたくはない気持ち。

有川さん自身の実体験も、かなり入っている(ようだ)と知る。 もし知っている状態で読んだのだったら、居心地の悪さや後味の悪さを感じたかもしれない。 でも、知れたのはよかったかなとも思う。タイトルの意味を、より深く考えた。 書くことだけに集中できたらいいのにね。

結婚相手は抽選で

結婚相手は抽選で (双葉文庫)

結婚相手は抽選で (双葉文庫)

「抽選見合い結婚法」なる法律。適齢期にある未婚男女の結婚相手を、抽選で決めようというもの。導入された理由やこまかな規則がいかにもあり得そうで、実際に施行されたら本当にこんな感じになるのかも?と少し思った。そして登場人物たちの状況と心理が、やけにリアル。もし自分が同じ立場なら、やっぱり打算や葛藤で苦しむんだろうな、などと思いつつ、深刻にはならず面白がった気持ちのまま読了。

良い読後感だったのだけれど、読後感が悪〜いバージョンも読んでみたいなと思ってしまった(笑)。

強運の持ち主

強運の持ち主 (文春文庫)

強運の持ち主 (文春文庫)

通して優しい展開なので、気持ちがざわつくこともなく穏やかに読了。

謎自体はちょっとしたもので、最初のふたつについては途中でわかってしまったくらいだったけれど、ルイーズがどう解決するのかが気になるので興味を失わず読めた。「〜けれど」がすべて「〜けど」になっていたのが、ルイーズの語り口調なのか瀬尾さんの文体なのか、出てくるたびに気になってしまった。他の作品で確認しよう。

占いを信じていい時、直感を信じるべき時、うまく切り替えられるのが本当の強運の秘訣かも〜なんて思った。あと、ジュリエが意外とすごい(笑)。

告白

告白 (双葉文庫)

告白 (双葉文庫)

とにかく面白かった! 第一章はそれだけで既にバシッと収まっていて、一章ラストまで読み終えた時、これって短編集だった?と思ったくらい。でもそこからも凄かった。思惑と思い違いと思い込み。引き込まれて一気に読んだ。

読後は静かに興奮。誰も幸せじゃないし誰も救われていないのに、スッキリして気持ち良さが残るのはなぜなんでしょう。えげつない感情もすべて吐露されているから? それなのに淡々としているから? いろいろ考えてみてもよくわからない。正しいだけの人間がいないっていうところにも、しっくり来たのかも。

ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 下巻

終わってしまったー。
裁判後半戦。濃厚すぎる数日間だった。予想できた部分も少しだけあったけれど、いい裁判だったと思う。何より、主張したかったひと、主張すべきひとが発言する機会を得られたのが良かった。評決内容も、気持ちに折り合いのつく良いものだった。

そして、その後のみんなのことが気になる。ちらりと触れられていた以外の登場人物たちについても、知りたい。そこは想像で補うのがいいんだろうけれど。誰もが傷ついたけれど、得るものも大きかったはずだから、みんなが明るい方向に向かって行ってくれていたならいいなと思う。

ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 上巻

読み始めから何だか緊張していて、「開廷します」の宣言の時には本当にドキッとしてしまった。ついに始まった。

この巻では、弁護側や検事側からの視点では物語が語られない。彼らの心情は別の誰かから見た様子でしか窺い知ることができず、そのせいかずっと気が張りつめたまま最後まで読んだ。どことどこに偽証があるのか、何が嘘なのか、この裁判がどこに着地するのか、早く知りたい。みんなの気持ちが救われる結果になればいいなと思う。