「昨夜のカレー、明日のパン」を読みました
木皿泉さんの「昨夜のカレー、明日のパン」を読みました。
お話が9つ入った連作小説。最初の「ムムム」ではピンと来ず、その次のお話もなかなかのめり込めなかったので、途中でやめそうになってしまった。でもそのうちテツコやギフに興味が湧いてきたし、登場人物同士のつながりが見えてくるのも楽しくなったので最後まで読めた。
激しい展開はなく、割と静かに物語が進んで行くのだけれど、普通だとそうはならないなというような展開が多かった。自分の義父と友人を初対面なのにふたりで山登りに行かせたり、恋人が小学生に考えられないような大金を貸してしまったり。そのせいか、いかにも架空のお話だなという感覚で読んでしまった。でも気持ちの動きは想像できたので、その辺りは現実味があったと思う。
登場人物たち、みんな地味に頑固だった。だから面白い展開になるんだろうな。読後感は良かった。その後どうなったのかなと気になることがいろいろ残りはしたけれど。
「」の会話が続くとどちらが言っているのかわからなくなったり、地の文で視点が急に変わったりするのが何度か気になった。後で知ったところによると、脚本家夫婦の初めての小説とのことなので、少し脚本っぽい作りだったのかなあ?