「ツナグ」を読みました
辻村深月さんの「ツナグ」を読みました。
映画化された時から気になっていた作品。
人は生きている間に一度、使者(ツナグ)にお願いして、死者と会う機会を持てる。ただし、会えるのは一晩のみ。ルールや条件もあり、誰もが好きに機会をもらえるわけではない。
感動して涙しちゃう本なのかな、と思っていたら、そういうのとはまた違ってた。涙はこぼれなかったけれど、心に何かがたくさん溜まった感じ。読み終わってからの方が泣きたくなった。
どの対面にも、どうにもならないもどかしさを感じた。どうやっても死者は生き返らないし、それぞれの思いを想像すると本当にどうしようもない気持ちになる。
「親友の心得」が一番衝撃が大きかった。そこに着地するんだという驚き。読後しばらく引きずってしまう。
最後の「使者の心得」では、前のお話4つを受けたエピソードも含まれていて、いろんなところに感情移入した。登場人物それぞれの事情や心情、決意の理由が見えてきたのがよかった。終盤、歩美とばあちゃんがベンチでしていた会話もよかったなあ。
そして、辻村さんの文章には、心に刺さるようなことばがサラッと出てくる。何度も。