「怪奇小説という題名の怪奇小説」を読みました
都筑道夫さんの「怪奇小説という題名の怪奇小説」を読みました。
完全にタイトル買い。気になっている作家さんではあったけれど、そもそもこういうよくわからない題名に弱い。
怪奇小説の執筆に頭を悩ませる主人公が、それどころではなくなるような怪奇な現象に遭遇していく。
思考と執筆内容が入り乱れて境目がわかりづらいのが、面白い。ジョン・スタインベックという作家の短編「蛇」が(たぶん)まるまる挿入されているシーンがあったり、各章のタイトルにインパクト強めの注釈が添えられていたり、古い作品なのに新しさを感じた。
ストーリーは章を追うごとに怪奇具合が深まって、後半はハラハラしながら読んだ。突飛な展開で収拾つかないのではと思いきや、最後は意外と辻褄が合ったので驚いた。
普段あとがきや解説はあまり読まないのだけれど、解説が道尾秀介さんだったのでざっと読んだ。ペンネームの「道尾」が都筑道夫さんの「みちお」から取られていたと知ってびっくり。
単行本の装丁の仕掛けが紹介されていた。これは知ることができてよかった。文庫版も同じ仕掛けだったらよかったのになー。