「南の子供が夜いくところ」を読みました
恒川光太郎さんの「南の子供が夜いくところ」を読みました。今回は電子書籍で!
不思議なお話だった。
私自身の話になるけれど、夢の中で建物のどこかを移動している時など、何となく不穏なものを感じて落ち着かないことがある。薄暗い。電気をつけてもきちんとつかない。どの部屋も様子がおかしい。日常のはずなのに、そこにいる人も物も風景も、何とはわからないけれど何かが違う。これはよくない感じだと気付くと、ふつふつと恐怖がこみ上げてくる。そこで夢だとわかる場合は、必死で目覚めようとする。
読んでいて、それと同じような感覚になった。いわゆるホラーなストーリー展開ではないのに、そわそわしてしまうような怖さがずっとある。それでいて、読みながら少しワクワクもしていた。
さっきのあの話はどうなったんだろうと思いつつ、今はこの話が気になる。そして忘れた頃に、さっきの話を思い出すような引き金が引かれる。意識が行きつ戻りつさせられて、本当に夢の中みたい。
恒川光太郎さんの本を読むのは3冊目だったかな、どれも雰囲気が不思議。そして、すごく好き。