頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「火車」を読みました

宮部みゆきさんの「火車」を読みました。

ガッツリしたものが読みたくなって、これを。686ページの長編。読み応えあったー。

主人公は、休職中の刑事、本間。行方不明の婚約者探しを親戚から頼まれるところから話が始まる。

婚約者は自ら痕跡を消したかのように完全に姿を消していて、なかなか所在が掴めない。本当に本当に少しずつ手掛かりを見つけ、正解に向かっているのかすらわからないままジリジリと進んで行く。

先が気になる展開ではあったのだけれど、ページをめくる手がもどかしいとか、とにかく早く先を知りたくて読み急ぐとか、そういう風にはならなかった。本間と一緒に進むようにじっくり読んだ感じ。

クレジットやローン、借金の仕組みがものすごく丁寧に説明されていた。解説していたのは登場人物だけれど、実際に書いたのは宮部みゆきさんなわけで、こういうことを調べるのも大変だろうなあと変に現実に戻ってしまった。
この物語は平成になってすぐの頃。令和の今はまた事情が違うのかな。キャッシュレスやオンライン化が進んで、借金なんてもっと気軽になっているのかもしれない。扱いを間違えると、誰でも簡単に転落するという怖さを知った。

幸せになりたいのはみんな同じなのに、何をもって幸せとするか、それに向けて何をするかで人生が本当に変わってくる。そこが哀しかった。

本間は人に恵まれているようで、そこは救いだったな。

ラストシーンの後は、どうなったんだろう。こうだといいな、という想像はしてみた。