「とにかくうちに帰ります」を読みました
津村記久子さんの「とにかくうちに帰ります」を読みました。
基本的な舞台は会社。大きな事件は起こらないし、小さな謎解きみたいなこともない。表題の「とにかくうちに帰ります」だけはやや非日常なできごとだけれど、ほかは日常のちょっとしたできごとがクローズアップされていて、割と平穏なまま終わる。
それでもなんか、ずっと読めちゃう。『あー わかる』ってシーンが多い。話の筋には関係ないような小さな言動や心の声、湧いてくる感情が、あるあるの連続。そして、そういった描写こそが実はメインとして横たわっている感じ。そこ切り取ってくるんだっていうニヤリ感もあるしで、退屈しなかった(「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」の、モリーナのあれこれはちょっと飽きたけど)。
みんな普通の人たちだけれどみんなクセがあって、みんないい人なんだろうけどイヤな部分も持っていて。私のまわりも私自身もきっとそうなんだろうし、そこが面白いところなんだろう。
これは、ゆっくり読みたい小説。ストーリーだけつかめばいいやみたいな読み方をしたら、きっとつまらないと思う。
余談だけれど、間宮さんとイシイさんについては、途中まで性別を読み違えてた。雰囲気で勝手に判断しちゃうからなー。