頭の中のあかない引き出し

毎日ちょっぴりシアワセを

「はじめての」を読みました

アンソロジー「はじめての」を読みました。

「はじめて」というテーマで、島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さんがそれぞれ短編を執筆。更にそれらが、YOASOBIにより楽曲化されるという贅沢な企画。私自身も興味あったけれど、長女がYOASOBI大好きなので文庫待ちせず購入。

■「私だけの所有者」(はじめて人を好きになったときに読む物語)

読んでいる最中はあまりぴんと来なかった。終盤、関係性が明確になるまでは引き込まれる感じも少なくて、何だかのろのろ読んでしまった。
でもあとから思い知らされる絆が切なくて、読後にじわじわと気持ちが残った。


■「ユーレイ」(はじめて家出したときに読む物語)

女の子の正体がずっと気になってた。優しい。救われる。その後、何とかなっていて欲しい。

現実の世界でつらい思いをしている子たちが、こういう作品を読んで、少しでも踏みとどまってくれたらいいなと思った。

■「色違いのトランプ」(はじめて容疑者になったときに読む物語)

爆発により、鏡に映したような同じ世界が発生し、そこには自分も含めこちらと同じ人物たちが存在している。
設定はフィクションだけれどワクワクした感じは一切なし。主人公の一人娘は、テロとの関わりを疑われてのっけから身柄を拘束されちゃってるし。

緊張した状態で進んだストーリーは、少し意外なところに着地した。結末にはやや腑に落ちないところと漠然とした不安が残ったものの、未来に明るい光もありそうで希望が持てた。

■「ヒカリノタネ」(はじめて告白したときに読む物語)

これが一番好きかな。
日常の高校生活に非日常がサラッと入ってきて、すごい経験をして、それが反映されつつの日常にまた戻る。
キュンとする部分もあって、読後感も良い。
少女マンガ的で実に良かった!(笑)


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同じ「はじめて」というテーマでも、書く人が変わればこんなに違うお話ができるのかと思ってとても楽しかった。これらが曲になったものも聴くことができると思うと、それもまた楽しみ。