「残月記」を読みました
小田雅久仁さんの「残月記」を読みました。
「そして月がふりかえる」、「月景石」、「残月記」の3篇。
【そして月がふりかえる】
ある時点から、自分が自分の認識する自分ではなくなってしまうという恐怖。
自分がいつも通りの自分として生きていられるのは、他者からもそのように認められるってことも重要なんだな。自分は何も変わっていないのに、周りの認識次第でこんなことになってしまうとは。こわいよー。
月って、何かそういう不思議な現象を呼び起こす力みたいなものがあるようにも思えるな。『世にも奇妙な物語』で実写化したら面白そう。
【月景石】
夢のような現のような。どちらが本当の居場所なのか、何を守っていけばいいのか、読みながら何だかずっと心細かった。
語り口のせいなのか、読んでいると眠くなってしまって何度か寝落ちつつ読了(笑)。
でも、世界の雰囲気はとても好きだった。異界の様子やイシダキ同士の関係性、不文律。ないのはわかっていても、ありそうに思えて。
血なまぐさい描写もあったけれど、表現や言い回しが好み。ゆっくり丁寧に味わいながら読みたいなあと思った作品。マンガやアニメになっても楽しそう。
【残月記】
表題作なのに、この作品が一番ページ数あるのに、まったくハマらなかった!
100ページ近くは頑張って読んだものの、残り半分を読み切れる気がせず。ところどころ拾い読みして、あとは断念してしまった。
あまりにも記録っぽいから楽しめなかったのかな。闘士の話のあたりから読めなくなった。月昴者の話は興味深かったので、残念。